せせらぎ河川公園の外来生物

せせらぎ公園に繁茂する植物には、外来種が多い。主たる目的が防災で、公園として厳しく管理されているものではないことから、自由奔放な公園の環境がそうさせている。

 良いにつけ悪いにつけ、よく観察していきたいテーマである。

せせらぎ河川公園で見られる要注意外来生物

キショウブ、       ヒメジョオン、       セイヨウタンポポ、       キクイモ、          クレソン          メマツヨイグサ、    コマツヨイグサ、      ヘラオオバコ、         アメリカネナシカズラ、  セイヨウヒルガオ、

コセンダングサ、   アメリカセンダングサ、 オオアレチノギク、     ヒメムカシヨモギ、  ランタナ、  ワルナスビ、


セイタカアワダチソウ

観賞用に持ち帰った花で、大坂淀川縁りに逃げ出したのは明治時代という。特に、ここ40年で日本中に蔓延した感がある。農地が荒れ、茅などの雑草が茂ると「我が意を得たり」とばかり猛威をふるう。

なぜこのように強いのか?これには大きな秘密がある。無数の種は風に乗って一面にばらまかれ、あるいは、トラックなどの荷台に載って遠くまで運ばれ根を下ろす。

一端根を下ろすと四方八方に勢いよく根を伸ばしながら新芽を出す(栄養生殖)。しかも根からは他の植物を枯らす物質(一般にアレロパシーというを出して自分の進む道をあける。まるで装甲車に先導された進撃である。アワダチソウ軍の空軍、陸軍の総攻撃である。 

 

しかし、最近は減少しているように見えるのだが・・・・何らかの形で制御がかかっているのかもしれない。


キクイモ

キクイモ(Helianthus tuberosus)

キク科ヒマワリ属キクイモ

全国各地の荒れ地、空き地にも生息する。高さ2.5~3m、幹の直径は3cmにもなる草本植物ある。葉は20~30cmの卵形(披針形)~楕円形であるが、葉先は尖り、基部はくさび形となって葉柄につながる。葉は、茎の下部では対生し、上部では互生である。茎葉には粗毛がある。また、葉の基部から先に掛けて1対の側脈が走る。

花期は8~11月で黄色の頭花は径5~10cm、葯は黄~褐色である。根は横に走り、秋には根の先にショウガあるいはサトイモに似た塊茎がつく。イモがあるからダリアと思いきや、ヒマワリの仲間である。

塊茎には糖分(デンプンではなく、イヌリン)を多く含み、若干甘い。

全国各地の荒れ地(特に北海道でよく見られるという)で見られる植物ではあるが、原産地は北アメリカ中部で、1870年頃イギリス総領事 R . Alcockによって「農作物」として持ち込まれたことが「農業雑誌9号」(津田 仙 1876)にある。

農作物とは、食用あるいは飼料用ですが、目的は茎、花ではなく塊茎である。

救荒作物として重要な作物とあり、第二次大戦時食用として栽培されたようである。しかし今ではほとんどの場合花壇を飾り、野生化して野原を飾るだけである。どうも作物としての魅力はなかったようにも思われる。

 

「山菜」の本を参考にすると

「上部が枯れたころ株を引き抜くと塊茎が多数ある。塊茎を天ぷら、味噌漬けにするとおいしい。また、塊茎を輪切りにして酢水に浸けてあくを抜き、サラダにしてもおいしい」とある。塊茎の成分は甘味のある糖質のイヌリンである。おいしいのであれば、農作物として見捨てられ野生に帰ることはないのでは?何か欠点がある・・・・。

栄養学的に考えるとデンプンは無数のグルコースがつながったものであり、コンニャクの成分は糖質のマンナンでガラクトースという糖が2つながったものが主成分である。また、砂糖はグルコースとフラクトースからなる糖であり、イヌリンは砂糖によく似た構造の、グルコースとフラクトースでできたオリゴ糖で、フラクトースの数が多い。フラクトースが多いばかりに砂糖ほど甘くはない。加えて、残念にも、人にはマンナン同様イヌリンを消化する消化酵素がない。人はイヌリンを分解し栄養分として利用することはできない。それを考えると、キクイモは救荒植物としての働きをすることのできない代物であったと思われる。腹いっぱいに食べても太ることもないあまり意味がない作物だったのである・・・飽食の時代の昨今、コンニャクと同様、キクイモは整腸効果、ダイエット食品としては期待できるとは思うが・・・。

 

イヌリンは同じキク科の「ゴボウ」にも含まれている。 

 


アメリカネナシカズラ

アメリカネナシカズラ 

 せせらぎ公園ではここ数年で生息域を急拡大した。夏に植物を嘗め尽くす勢いで、若干気味悪くさえ感じるが・・・

ちぎれたつるが残っていると、それが寄生根を出して茎の維管束に差し込み、そこからまた勢いよく増える。まるでカビを連想させる。1年草であり、冬は枯れ、翌年発芽し、最初は根があるが、寄主植物にたどり着くと、元の根は枯れるという。

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アレチヌスビトハギ

アレチヌスビトハギ

 北アメリカ原産の帰化植物である。葉は、3枚からなり、南天の葉お思わせる。

 マメ科植物の多くがそうであるように、路傍造成地保護のために導入されたものと思われるが、マメ科の特徴である根粒菌が、空中窒素を固定化し、栄養分を補給するため、荒れ地でも強く生育する。果実は、3~6つの節からなり、衣服にくっつく「ひっつき虫」1種である。

 1年草との説明であるが、多分、次のヌスビトハギと同じような多年草と思われる(観察必要)。

 日本にも、もともとヌスビトハギはある。日本、台湾、中国、朝鮮半島に生育するが、明るい樹陰等に生育し、せせらぎ公園のような開けた場所で他を圧倒するような繁殖力はない。

 果実は、2つの節からなり、衣服にくっつく。


マルバルコウソウとルコウソウ


マルバアメリカアサガオ

最近、耕作地、非耕作地河川敷を問わずアメリカマルバアサガオ(?)が猛烈に繁茂している。特定外来生物としてリストアップされてはいないが、要注意外来植物と思う。太田川河川敷の塀に覆いかぶさった個のアサガオの中に、おそらく突然変異であろう白色の花のアサガオが数輪咲いていた。


マメアサガオ

数年前まで見たこともなかった小さなアサガオマメアサガオがいつの間にがせせらぎ河川公園の至る所で見られ始めた。それも、紫、白の2色に加え、非常によく似たホシアサガオまで目にするようになった。

数年後には、現在のアメリカヌスビトハギに匹敵する勢力になるのではないかと心配している。


その他

要注意外来生物の ヘラオオバコ   ユウゲショウ  メマツヨイグサ


コヒルガオ

ヒルガオ